「落ち着く」を学ぶために『ひとり茶道』を読んだ感想


最近、私は「落ち着く」ということに興味を持っています。

忙しい日々のなかで落ち着くには、何をすればよいのか。そもそも、落ち着いているとはどのような状態なのか。少しずつ考え、学んでみたいと思うようになりました。

そこで図書館を訪れた際に手に取ったのが、竹田理絵さんの『一日5分で自分をリセットする ひとり茶道』です。

もともとお茶が好きだったこともあり、茶道を通して「落ち着く」ためのヒントを得られそうだと思い、借りてみました。

私が図書館に通うようになった理由

はじめに、私が思う図書館についてのイメージをまとめておきます。

働き始めて税金を納めるようになると、思っていた以上に多くの税金を払っていることに気づきました。それをきっかけに、税金がどのように使われているのかにも興味を持つようになりました。

税金の使い道について、個人が直接決められることは殆どありません。
あるとすれば選挙で一票を投じることぐらい、自分のお金を何に使うのかを細かく選べるわけではありません。

その点、図書館は少し変わった公共サービスだと感じています。

図書館に並んでいる本は税金によって購入されていますが、そのなかからどの本を読むのかは自分で選べます。税金によって用意されたものを、自分の興味に合わせて活用できるところに魅力を感じ、図書館へ通うようになりました。

頻繁に通っているわけではありませんが、時間に余裕ができたときに足を運び、一度に4〜5冊ほど借りています。それを1〜2週間ほどかけて読むのが、現在の自分に合ったリズムです。

私は小説を読むのがあまり得意ではないため、知識を得られる本やビジネス書を選ぶことが多く、最近は歴史に関する本も読むようになりました。

すべての本を隅から隅まで読むわけではありません。タイトルや目次から書かれている内容を想像し、自分が興味を持ったところを中心につまみ読みしています。

お茶を飲みながら本を開いたり、寝る前に少し読んだりする時間は、日常のなかで落ち着くための時間にもなっています。

『ひとり茶道』はどのような本か

『ひとり茶道』は、茶道の細かな作法を学ぶための本というより、茶道の精神を日常生活に取り入れるための本でした。

著者の竹田理絵さんは、長年にわたって茶道を学び、多くの人に教えてきた茶道家です。本のなかには著者自身の経験だけでなく、生徒さんから寄せられた意見や、茶道を通して起きた変化も数多く紹介されています。

それらを読んでいると、著者が長い時間をかけて茶道と向き合ってきた歴史を感じます。単なる知識として茶道を説明するのではなく、実際の経験を通して得た考えが書かれている点が印象に残りました。

本書では、抹茶を点てる一連の動作を通して、目の前のことに集中し、心を整える方法が紹介されています。

忙しい日常から少し離れ、自分のためにお茶を準備して味わう。その時間自体に価値がある、というのが本書の中心にある考えだと受け取りました。

抹茶でなくてもよいのではないか

読みながら少し疑問に感じたのは、「茶道の精神を大切にするのであれば、必ずしも抹茶にこだわらなくてもよいのではないか」ということです。

本のなかでは、初心者でも実践できる抹茶の点て方が紹介されています。もちろん、本格的な茶道への入り口として抹茶を点ててみることには意味があると思います。

一方で、自分のためにお茶を準備し、目の前の一杯に集中して、ゆっくり味わうことが目的なら、煎茶や紅茶でも同じような時間を作れるのではないでしょうか。

茶葉を量り、お湯を沸かし、適した温度になるまで待つ。急須やティーポットからお茶を注ぎ、香りや味を楽しむ。煎茶や紅茶にも、それぞれ丁寧に向き合える一連の動作があります。

守破離(しゅはり)の考えとして、茶道は「守」に特化した昔ながらのルールに沿うことで「何故これをしているのか」「どうしてこの考えに行き着いたのか」を行動をしながら追体験することで自分の中の答えを見出すものだと感じています。

形式も大事だけど、お茶を用意する時間と姿勢を短く理解することで茶道という長い道への取り組みに興味が出てくるのかなと感じました。

抹茶を点てることだけを「ひとり茶道」と考えるのではなく、自分が普段飲んでいるお茶で、落ち着くための時間を作る。本書を読んだことで、そのような自分なりの取り入れ方を考えるようになりました。

千利休について、もっと知りたくなった

本書のなかで、特に興味を持ったのが千利休に関する話です。

千利休は、豪華な道具や形式をそのまま受け入れるのではなく、余計なものを削ぎ落としながら茶の湯を追求した人物だったように感じました。

現在の形式として整えられた「茶道」を目指していたというよりも、お茶を通して人がどのように過ごし、どのように相手や自分と向き合うのかを突き詰めていたのではないか。読みながら、そのような印象を持ちました。

茶道の作法を知ることも大切ですが、その奥にある利休の美意識や考え方に、私はより強く惹かれました。

これからは茶道を入り口として、千利休が何を否定し、何を大切にし、何を追い求めていたのかをさらに学んでみたいと思います。次に図書館へ行ったときには、利休や茶の湯の歴史に関する本も探してみるつもりです。

本当に一日5分でできるのか

本書のタイトルには「一日5分」とありますが、実際にお茶を楽しむことを考えると、5分で完了するとは思えませんでした。

お湯を沸かし、道具を用意し、お茶を点てて、ゆっくり味わう。飲み終わったあとは片付けも必要です。落ち着いて取り組もうとすれば、5分より長い時間が必要になります。

ただし、読み終えたあとでは、必ずしも5分に収めることが大切なのではないとも感じました。

大切なのは、短時間で効率よく終わらせることではなく、お茶を準備して楽しめるだけの余裕を、自分の生活のなかに作ることです。

忙しいからといってお茶を急いで飲むのではなく、あえて手間をかけて準備する。その時間を確保すること自体に、心を整える意味があるのだと思います。

私は5分という時間にはこだわらず、煎茶や紅茶も含めて、ゆっくりお茶を楽しむ時間を意識して作っていきたいです。

落ち着く時間は自分で用意する

『ひとり茶道』を読んで得たものは、抹茶の点て方だけではありませんでした。

落ち着く時間は、何もせずに待っていれば自然に生まれるものではなく、自分で意識して用意するものなのだと思います。

お茶を準備し、目の前の一杯に集中する。そのあいだだけでも仕事やスマートフォンから離れ、香りや味をゆっくり楽しむ。それは抹茶でも、煎茶でも、紅茶でも実践できます。

私にとっては、お茶を飲みながら図書館で借りた本を読む時間も、そのような落ち着きを取り戻すための時間になっています。

これからも図書館を活用しながら、千利休や茶の湯について知識を広げ、自分にとっての「落ち着く」を少しずつ学んでいきたいと思います。

本記事で取り上げた本はこちらから確認することができます
一日5分で自分をリセットする ひとり茶道 | カーリル

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