手軽なのに、ちゃんと香る。お気に入りの紅茶ティーバッグに落ち着くまで


紅茶が好きです。

特別なこだわりがあるわけではないのですが、少し落ち着きたいときに、気づけばいつも紅茶を選んでいます。

温かいカップを両手で持って、香りをひと呼吸ぶんだけ吸い込む。そのささやかな時間が、私にとっての小さな区切りになっています。

茶葉でも、ティーバッグでも

紅茶は茶葉から淹れることもあります。

正直なところ、茶葉のほうが美味しい、と感じているわけではありません。茶葉をポットでゆっくり開かせて淹れた一杯には、やっぱり茶葉ならでは、ティーバッグならではの良さがあります。

ただ、だからといってティーバッグを「手軽なだけのもの」と割り切っているかというと、そうでもありません。

実際、一杯だけ飲みたいときでも、茶葉を使うためのティーポットを使うことがあります。

手軽さと丁寧さは、そのときの気分でゆるく行き来している感じです。どちらが上ということもなく、その日の自分に合うほうを選んでいます。

手軽さだけじゃなく、「好きな味」に出会った

そんなふうに紅茶を飲んでいるなかで、あるとき「好きな味」にふと出会いました。手軽さももちろん大事なのですが、それ以上に、素直に「これが好きだ」と思える一杯に出会えたことのほうが、私にとっては大きな出来事でした。

きっかけは偶然でした。なんとなくお店で手に取って飲んでみたアールグレイが、思いのほか好みだったのです。

アールグレイはベルガモットで香りづけされた紅茶ですが、そのベルガモットの香りが強めに立つところが気に入って、それからよく飲むようになりました。カップに注いだ瞬間にふわりと広がる柑橘の香りが、気持ちをほどいてくれる感じがして。

私のちょうどいい淹れ方と、飲むタイミング

飲み続けるうちに、自分なりの「ちょうどいい淹れ方」も定まってきました。

私の場合は、150mlのお湯にティーバッグを1つ、3分ほど蒸らすのがいちばん美味しく感じます。濃さも香りも、これくらいがいちばんしっくりくる、という落としどころです。

飲むタイミングも、だいたい決まっています。

  • 朝、起きたとき。一日を始める前の、まだ静かな時間に。
  • 日中、少し休憩したいとき。区切りをつけたいタイミングに。
  • 夜、寝る前にお腹を落ち着かせたいとき。

どれも大げさな習慣ではありません。けれど、こういう小さな一杯が一日のところどころにあると、気持ちが妙に整う気がしています。

お店で、買えなくなった

ところが、その好きな一杯が、あるとき急に手に入らなくなりました。いつも買っていたお店で、入荷先が取り扱いをやめてしまったようで、店頭から姿を消してしまったのです。

当たり前のように続くと思っていた習慣が、こういうかたちで途切れることもあるのだと、そのとき少し寂しくなりました。

ネットで買い直したら、何かが違った

それでもやっぱり飲みたくて、同じ商品をネットで探して買い直しました。

私が買い直したのはこちらのアールグレイです。同じ商品なのだから、当然同じ味のはず——そう思っていました。

けれど、いざ淹れてみると、何かが少し違うのです。はっきり「まずい」というわけではありません。ただ、以前飲んでいたときの、あの香りの立ち方や満足感と、どこか差があるように感じました。

保存方法の違いだろうか、とも考えました。賞味期限が切れているわけではないし、目に見える問題は何もない。

それでも、感じ方が以前とほんの少し違う。もしかしたら、買った時期のせいなのかもしれませんし、そのときの自分の体調や気分のせいなのかもしれません。原因は、結局よく分かりませんでした。

おいしさは、一杯だけでは決まらない

この一件で、しみじみ感じたことがあります。好きなティーバッグにせっかく出会えても、その美味しさは、ものそのものやタイミングによって変わってしまうものなのだな、ということです。

同じ商品でも、保存の状態や、買った時期や、飲むときの自分のコンディションで、感じ方は移ろっていく。「これさえあれば必ず落ち着く」と言い切れるものは、案外少ないのかもしれません。

でも、それはそれで悪くないと思っています。落ち着く一杯も、美味しいと感じる一杯も、そのときどきで少しずつ変わっていく。だからこそ、また新しい「好き」を探す楽しみもある。今日のところは、そんなふうに受け止めています。

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